sho iwanaga Architect & Associates
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滋賀県は琵琶湖のほとり、大津京駅の目の前にある三角形の敷地に木造3階建のテナントビルを計画するコンペに参加した。周辺の人々の憩いの場となるようなテナントビルが求められた。

常日頃から都市のビルにこそ軒下空間が必要だと考えていた。軒は強く照りつける日差しを遮ってくれる。その下には心地良い日陰空間が生まれ、人の居場所となる。おしゃべりをしたり、食事をしたり、お酒を飲んだり。庇は敷地と道路をつなぐ役割も果たしてくれる。もしも全てのビルに庇が掛かったなら、都市は格段に心地よく楽しい空間になるに違いない。

この考えは敷地内にぎちぎちに建築し、可能な限り床面積を確保するのが通例である都市の中心部ではなかなか受け入れられないかもしれない。庇を掛けた分、外壁を後退させなくてはならず、建物の床面積はそれだけ少なくなるからだ。しかし、今は都市の必要性自体が問われている時代である。かつての経済至上主義一辺倒の都市には、もはや人々は集まらなくなるだろう。

敷地は三角形のいわゆる"狭小地”であった。その中で「本物の人の居場所」をつくり出すために検討を重ねた。強い日差しを遮るために、温熱環境が安定している北側にテラスを計画した。1階テラスは内部に回り込むように計画し、狭い敷地の中でもふところの深い居場所となるように配慮した。窓上部には屋根・庇を設け、雨仕舞いに配慮するとともに、雨天時の窓の開放を可能にし、空気環境を衛生的に保てる計画とした。また、庇を設けながらも、平面形状を敷地に合わせ、テナントの専有面積を極力確保した。

今、人々は「本物」や「本当」を求めているように感じる。都市において、また建築においても「人間にとって本当に心地よい場所」をつくることが求められているのは確かである。

Outline

構造
Wood
場所
滋賀県大津市
床面積
233.82
敷地面積
122.72
工事種別
Unbuild
規模
地上3階建

Credit

設計:
SECOND DESIGN 一級建築士事務所
協力:
佐伯楓倭